日記(0224-0313)

2月24日木曜日

リモートワークも相まりおしゃれをすること自体が久しい。初デートくらい身なりをキメて表参道に向かう。おかもとえみと鈴木真海子のツーマンライブ。

f:id:yomo4431:20220318141220j:image


位置取りに手こずり前編のえみそんパートはじゅうぶんに楽しむことができなかったが、なんとか真海子パートで好位置をしかと確保。judenchuの歌唱で目が合った。小さい箱でよかった。フィメールラッパーとポップシンガーの間を行き来する流麗な二人。えみそんと真海子をこの距離で見れる機会などこの先もう二度とないのだろうと思う。終演後、バーカウンターがまだ開いていたのであわててハートランドを注文。ほろ酔いで帰宅。

霜降り明星の単独ライブ『ひでんマシン』の配信を観る。自分たちのお笑いをのびのびやっている姿がよい。霜降り明星の二人を見ていると、クラスのお調子者をみている感覚になるのがすごく好きだ。ずっとこの調子でやってくれるという安心感さえ抱かせる。

 

2月27日日曜日

疲弊しきった心と体を携えながら映画館へ。話題作『コーダ あいのうた』を鑑賞。仕事のクランチを切って人目も憚らずとにかく泣きたかった。なにかが枯れるほど。選んだ作品は本当によかった。むずかしいことを考えることなく感情の赴くままに涙を流せた。いくら綺麗事でフィクションであっても、やさしい心持ちでいられる映画をみることは人生でやめちゃいけないことの一つだ。

 

3月4日金曜日

f:id:yomo4431:20220318141248j:image


お昼。牡蠣のスパゲティ・マリナーラ。旨い。マリナーラをはじめて作ったときとても玄人好みのパスタだと思った。子供の時に食べてもきっとおいしいとは思わない。少量でもたしかに主張するアンチョビとついつい多く振りかけてしまうオレガノ。たった二つの食材がお互いを引き立たせ馥郁たるあじに仕上がる。今回は牡蠣を入れたが、牡蠣のポテンシャルが高いがゆえ他にこのあじと渡り合える魚介が思いつかない。甘んじて海老だと思うが想像がつかない。おそるべし、牡蠣。

 

3月5日土曜日

アウターの選択を間違える。春には春にしか着れない服を着るべきなのに。

自部屋の家具やら思い出の教材やらを捨てると父親が言い出したのでせめて自分の判断で仕分けをするべく実家に帰ってきた。自部屋で残すもの捨てるものを仕分け、2時間ほど経過。気づけば一年前まで使用していた家具はほとんど処分されてしまった。小学生から浪人時代まで使用していた勉強机もバネ部分がばかになってしまったベッドも何もかも。物はいつか壊れてしまうし手放さなければいけない時はどうしたってやって来る。その時、捨ててしまおうか、と純粋に思えたのなら私はすこし逞しくなっているはずだ。物に宿る記憶よりありありとした記憶が自分のなかに既に存在しているから。

そんなつもりもなかったが、帰ったら帰ったで酒と肴を用意して迎え入れてくれるので一泊することにした。断捨離を済ませ一風呂浴び、母親と呑む。相変わらずトップバリュの一番安いウイスキーを隠し持っている。父親には内緒。最近聴いている音楽や観ているYouTubeなんかの話をした。iriとyonawoを布教し、両方とも刺さったようだ。曲を聴いている時の母親の表情や言動を観察しているとまあ自分に似通ったものを感じる。

 

3月7日月曜日

Dr.ハインリッヒのお知らせライブ配信を観る。このあいだ大阪で開催された単独ライブの東京公演開催が決定し歓喜。その後のトークでは下積み時代の話を幸さんが語る。辛い時にはブロッコリーを茹でて食べると良いらしい。もっとも大事な場面は茹でたブロッコリーの食感とか味ではなくて、鍋から取り出したブロッコリーの湯気が立ち上っている瞬間だそうだ。相変わらず意味がわからなくて魅力的なコンビだ。

 

3月9日水曜日

退勤後『ちょっと思い出しただけ』を観にテアトル新宿へ。予告を1か月前ぐらいに見た記憶はあったが詳しいあらすじは知らない。少々台詞がクサいのとテンポ感を掴むのが難しかったが総合的には観に来てよかった。自分がもっと年齢を重ねていたらより刺さる映画だろう。ベクトルが過去に向くお話だから恋愛経験をたくさん積んだ人が見たらきつそうに思える。キャストが池松壮亮伊藤沙莉の二人でよかった。とくに伊藤沙莉の魅力が爆発している。男子とようちゃんの魅力について1時間くらいだらだら話していたい。

帰り際ポストカードをもらう。舞台の高円寺に帰る。照生みたいに道すがら缶チューハイを飲もうと思ったが私がそうしたところで池松くんにはなれないのでやめた。

f:id:yomo4431:20220318141302j:image

 

3月11日金曜日

すり鉢が届いた。納品書に手書きで「疲れのたまりやすい時期ですので深呼吸しお身体を大切になさってください」とあった。有難い。意識しないと深い呼吸は忘れがちになる。

すり鉢で拵えたバジルペーストで作るジェノベーゼ。そのおいしさは格別だった。至らないところはある。麺量がすこし多かったりペーストをもう少しオイリーに仕上げたかったり。だがそれは次回に活かせばよい。トライアンドエラーを繰り返せるのが料理のすきなところだ。はじめてにしてはそれはそれは花丸の出来である。

f:id:yomo4431:20220318141323j:image

 

3月12日土曜日

しこたま睡眠を取り午後は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た。いい作品を観たあとは必ずと言っていいほど放心状態になってしまう。脳内がまとまらないのと感情の極まりによって。なににも代え難い多幸感があたまのなかを占める。もう年内はこれを超えられるエンタメ映画が現れない気さえしてしまう。とはいえ次回作のドクターストレンジも期待している。次はMARVEL好きの友人と観に行きたい。

 

3月13日日曜日

8時半、大阪到着。

f:id:yomo4431:20220318180908j:image


黒衣のワンマンライブのためだけに夜行バスに乗ってここまで来た。中学生以来の大阪だ。これが梅田。これが阪急。大阪LOVERをマスクの中で口ずさみながらあちこちを闊歩。自分を知る人間がいない街で歩くことがここまで心を弾ませるなんて知らなかった。思い返せば一人旅をほとんどしたことがない。私は私の身一つでどこにでもゆくことができるんだ。

f:id:yomo4431:20220318161836j:plain

ぎゅうぎゅうづめ

阪急線大阪梅田駅で551蓬莱を見つけたので反射的に入店。今回どうしても食べたかった551。二個売りからだったのでそれを注文しホームで豚まんにかぶりつく。甘い。生地が甘い。あまりのおいしさに咀嚼が止まらない。同時に驚きだったのが阪急線のホームがとても静かだった。入構音が静かでなんだか品すら感じた。それもあってか食事に没入することができた。二つも食べられるかという心配も杞憂に終わる。

f:id:yomo4431:20220318180902j:plain


阪急線に揺られほとんど夢の中にいた。気づけば万博記念公園岡本太郎を感じたくてやって来た。いきなりメインディッシュなんだ、と、入園と同時に塔の立地の潔さに感心する。遠目から一転、真下から太陽の顔を見上げる。顔の造形を見つめていると同じように一人で来ていた人に写真撮影を頼まれた。電車で前に座っていた女性だ。自分が言えたことじゃないが休みの日に一人で太陽の塔を見に来る心境ってなんなんだ。それにここは塔の真下だから背景に写るものが太陽の塔と認識できないけどそれで良いのかとさまざま葛藤しつつ、預かったスマホを縦や横に持ち替えて撮影する。何も言わずとも太陽の塔ポーズを取っていた。写真を確認してもらいその人は先に行ってしまった。どうせもう二度と会わないのならもうすこし話したかった。旅先の一期一会ってほんとうなんだな。

ぐるっと塔を一周してびっくり。背面にも顔がある。知らなかった。黒い太陽といって過去を表しているらしい。岡本太郎は「人間の身体、精神のうちには、いつでも人類の過去、現在、未来が一体になって輪廻している」以上の言葉を残していない。過去を"後方"に描くのはたしかにいいと思う。塔内の展示も見て回り、もう園内を歩き回る体力は残っていなかったので近くの梅林を抜けて公園を後にする。

f:id:yomo4431:20220318180910j:plain


梅田に戻り、呑み屋を二軒回った。ちょうどいい酔いを感じながらライブ会場のnoonに向かう。三列目の位置を確保し、あっという間の2時間に全てをぶつけ合った。

黒衣の音は静かでしたたかだ。ライミングは実直で派手やかさはない。でもそこに言いたいことがたしかにあって。計り知れない意気込みと思惑が、二人から、同じ熱量で伝わってくる。映像も要所要所に差し込み、二人の歴史を完全に知らない人間に対しても配慮しているライブ構成であったのもよかった。黒衣を黒衣たらしめる理由をKENTとpekoの二人が全霊でぶつけてくる、衝動的なひとときであった。

終演後、物販にKENTとpekoの二人が立つことになり、まさかまさかの二人と話す機会が生まれた。緊張でハイネケンを飲み干すが列に並んでいるあいだ胸に手を当てて鼓動が速くなっていくのをしかと感じる。pekoと話せた…!遥々来てよかった、大阪。

 

f:id:yomo4431:20220318161839j:image

 

f:id:yomo4431:20220318162137j:plain

ただのオタクにポーズを取る余裕はない

この先何度でも行きたいと思える場所、それが大阪だった。近いうちにまた行く。